集団的自衛権は憲法9条の問題とともに、ずっと以前からその行使の可否について論議が為されてきたものだが、タカ派と呼ばれる安倍内閣によって、急速に表舞台に登場し、行使可能な道を開こうとしている。
アメリカの一国強大国時代が終わり、日本にとってはかつての仮想敵国ソ連以上に、北朝鮮や中国というあらたな脅威が存在している中、きれいごとではない現実を見つめれば、行使もまた可なりとも思う。(但し、本来なら憲法改正によるべきものを解釈という、便利で恐ろしい手法をもってしようとしている点については、流石にもろ手を挙げて賛成とはいかないが)
ご承知の通り、集団的自衛権とは、「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにも関わらず、実力をもって阻止する権利」だが、これは国連憲章51条に「国連加盟国に武力攻撃が発生した場合、・・・個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない」と明記されている。
しかしながら我が日本国憲法第9条2項の「戦力の不保持」「交戦権の否認」がネックになっているのである。因みに、1項の「戦争、武力行使の放棄」は国連憲章にも盛り込まれており、目新しいものではないが、この2項こそ世界に例を見ない条項なのである。これにより、日本は奇跡的に半世紀以上も、武力行使という物騒な世界から遠のいて繁栄してきたと言えようが、急速に変化を遂げる国際情勢の中、半世紀以上前の憲法を一度も改正したこともないのもまた異常のことのようである。
改正の是非論はともかく、他国の憲法改正をあげてみると、アメリカが18回、フランスが24回、ドイツに至っては57回(それぞれ制定時期は異なるが)行っており、日本国憲法は世界最古の憲法とも言えるのである。人民を縛ることにも繋がる他の法律と違い、憲法は為政者が勝手なことをしないように権力者を縛る基本法だけに、よーく考えよう。