「前半生は後半生の肥料」税金を食いつぶして馬齢を重ねることなかれ

今月7日、認知症を支援する政府の「認知症国家戦略」の全容が明らかになった。2025年には、65歳以上の高齢者の5人に1人、700万人が認知症になるという。長寿であることは喜ぶべきことであろうが認知症や病気の恐怖に怯えながら、しかし税金の手厚い保護の中で、「後半生」を無為に過ごしている高齢者は多い。

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日本測量、伊能忠敬。「前半生は後半生の肥料」は、かの伊能忠敬のことばとされるが、忠敬が測量にその身を捧げたのは、齢55歳から71歳の間である。

年取ってからでなく若い時からやっていればいいではないかとも思うが、「前半生」は生まれ故郷の佐原の商家で将来に備えての資産蓄財に励み、かたわら名主として新田開発、治水で村の整備に勤しんでいた。佐原は伊能忠敬記念館のほかそういった名残を感じさせる街並みが実に美しい。
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佐原の街並み

現在の日本に目を戻すと、2013年の平均寿命は男80歳、女86歳であり、平均寿命とは0歳児の平均余命であるから、平均寿命時の平均余命は男女とも更に8年である。そして10年後には、これら高齢者のうち5人に1人が認知症ということである。また、介護を必要とせず元気に生活できるとされる健康寿命は男71歳、女74歳。
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平均値で言えば、男女とも10年ほど要介護状態での余生となる。介護保険が破たんの危機にあるのももっともであり、この春、四度目の見直しにより給付減額、施設介護から在宅介護への更なるかじきり策がとられるが、肉親と言えど(肉親だからこそ)在宅での介護は凄まじい現実を伴う。
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こうしてみると、超高齢化社会日本のお先は真っ暗にも見えるが、世界に先立って壮大な高齢化社会への適応実験をしているに過ぎない。
認知症にならない、身体状況も極力劣化させないためには、働くことが最善の策らしい。imagesV0W45VPL

多少の要介護状態になっても働き続けられる環境と、体力、気力を、定年後も持ち続けることが家族や国家にとっての最大の孝行なのである。

定年後に、重い道具を運んで日本中を測量するような荒行はしないまでも、(現在は手厚く支給されている)年金を頼りにしたくもない余暇活動をマナー知らずに行っている、団塊世代のオジサマ、オバサマ方に意味ある労働を呼びかけたい。
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わが身に照らしても耳が痛い話でもあるが、二百年前にくらべて「後半生」の選択肢ははるかに多い時代、来るべき時に備えゆっくり酒でも飲んで考えよう。
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