前回のガガーリンから、アメリカNASAの宇宙飛行士の話。
アポロ計画で大気圏外へ出たり、11号で人類初めて月へ降り立ったり(これは虚構だという映画「カプリコン・1」などもあったが)、13号で故障して地上との連携で奇跡的に生還したり(これも幾度も宇宙飛行士を死なせているソ連への当てつけの演出という風説もあるが)して、戻ってきた宇宙飛行士の多くが、”何かを見て””感じて”宣教師になったり、自殺したり(ガガーリンも確かアル中から自殺未遂)している人が多い。中には、飛行船の中での個人作業を売り物に実業家になって顰蹙をかったのもいたみたいだけど。”何かを見た”のは確からしい。
以下は知の巨匠:立花隆著「宇宙からの帰還」からの、帰還したまともな飛行士のコメントだが、それこそ地球レベルで、政治や利権に惑わされずに、且つ、地球内のあれこれを的確に(自分にとってだが)論じている。
ウォーリー・シラー(宇宙飛行士の第一期生)
「”何でも反対”的なエコロジー運動には与(くみ)しない。環境汚染をゼロにすることはできないし、する必要もない。宇宙から地球を眺めればすぐわかることだが、人為的環境汚染より自然による環境汚染のほうが量的にはすさまじい。たとえば、火山の爆発による大気汚染、大雨が土砂を押し流すことによって生まれる水汚染。環境問題とは、この地球という惑星の生存の条件と、人間の生産、生活活動の間の妥協点を科学的に発見していくことだと思う」
こんどはその”科学”について、宇宙飛行士第四期生で同行科学者:エド・ギブソンが、
「科学にできることは、さまざまの事象がいかにして生起するか説明するだけだ。そして説明というのは、実はあるレベルの無知を別のレベルの無知に置き換えることでしかない。たとえばある現象がなぜ起こるかを物質レベルで説明する。さらにそれはいかにしてと問われたときに、分子レベルの説明が出てくる。さらに問いが重ねられると、今度は原子レベルの説明がなされ、次には素粒子レベルの説明がなされる。(感想:広辞苑のよう)その先はまだ誰も説明できない。現代物理学はこのレベルでは無知なのだ」と語っている。
そして著者の人類への警鐘として、
「核戦争が起こらないとしても、地球上の人類にあまりよい未来はない。というのは、人間という種の内部で画一化がどんどん進行しているからだ。これは交通、通信の発達と環境の画一化といういずれも文明のもたらした現象によるものだ。ひとつの種が健全な生命を保っていくためには、多様性が必要なのだ。多様性のためには多様な環境が必要だ。特に穏健な環境ではなく、過酷な環境が必要だ。それなのに地球上の人間の環境は画一化になりつつある。こういう種は種としてひ弱になっていく」としている。
現代に生きる我々は、日頃の、住みにくさ、逆境を、甘受し、感謝すべきかも知れない。
蛇足ながら、ポケットジョークをひとつ。「<世界で一番いい暮らし>
アメリカの給料をもらい、中国人のコックを雇い、イギリスの家に住み、日本人の妻を娶り、ドイツ製の車に乗り、イタリア製の服を着て、フランスにバカンスに行く。<世界で一番悪い暮らし>ミャンマーの給料をもらい、イギリス人のコックを雇い、日本の家に住み、アメリカ人の妻を娶り、ロシア製の車に乗り、中国製のブランド物を持って、北朝鮮にバカンスに行く。」