リクルートが上場した。時価総額の大きさにおいても、子会社のリクルートコスモスの上場時の政官界との癒着騒ぎでも話題の銘柄、昨今の低迷の株価局面での健闘、流石である。自分の息子が新卒でほんの一時同社にいて、めくるめく時間を過ごしたようで、そのせいかお蔭かで今は企業家という道で、はつらつと親を心配させていることもあり、同社には一方ならぬ関心はある。
リクルート本体の創業者である江副さんは、リクルートコスモスの前記問題で起訴され株を手放してはいるものの、その後のバブル崩壊の傷を受けぬまま、しかるべき財産を残し、結果的に豊かなまま、新しい事業でまた成功しているらしい。
ただ、覚えているのは、当時文部省中心にバラマキ、意を伝えようとしながら、当時の総理まで抱き込んだはずが、当時社会党の”爆弾男”にはめられ、暴露され、窮地に追いやられた際、江副氏から相当恩恵を受けたはずの当時の総理が吐いた言葉への無念。当時のN総理が公式に発言したのは「江副何某という者によって、政治が動かされるはずもない」だったか。それを聞いた江副さんは、極めて残念そうに「そうですか、私は、江副何某ですか・・・」と返したと言う。潔いかな。そして自分も当時、政界は怖い、大物は捕まらないと、再確認していたな。
ちょっと昔のリクルートのOBが記した本、藤原和博氏の「リクルートという奇跡」からの心に残る、心に刺さる言葉を置いておきたい。
・私は、そういうクセのある人が好きだった。
・文句なく”骨太”の人だった。
・リクルートは怒涛の営業によって、圧倒的なシェアをもぎとった。
・とにかくここは事態を無理やり前向きにとらえるしかない。
・取締役が現場で頑張ってもだめなのだ。
・男はとにかくロマンに弱い。ロマンという共同幻想を食わねば生きていけない。
同社OBには藤原氏以外もあまた逸材は多いだろうが、氏の発想と箴言また親バカだが、同社での尋常でない”怒涛の営業”を楽しげに話す息子の話からも、心に残り気ばかり焦る中年の自分である。
蛇足ながら、ポケットジョークをひとつ。
『ある田舎町の商店街に、何故か憎しみ合う店主が二人、通りを挟んで向かい合って営業していた。一人の店主の店で気持ち良く買い物した男が、店主に向かい「実は私は魔法使いだ、あなたの望むものをひとつだけ叶えてあげよう。ただし、もしあなたに憎む人がいれば、その人にはあなたの二倍のものを差し上げることになる」これを聞いた男はしばし考えて、その魔法使いにこう言った「私の片目を潰してください」』