戦後間もない1949年、凡そ70年前に計画され、あまたの反対運動や有名な民主党なる政権のマニフェストにより中断され、そして再開された八ッ場ダム。その規模や、環境や地元住民との関わりも今更ながら取り上げられ、建設中にも関わらず、というか建設中が見られるとあって中々の名所となっています。
お金の話
事業の総額は、計画当初から三度の見直しを経て、2,100億円→4,600億円→5,320億円。起債の利息を加えると8,800億円に上ります。ダムを造るということは勿論ダムという巨大で堅牢な建築物を造る費用もそうですが、流域の環境保全、住民対策としての収用、代替地の開発・提供、道路整備、その他とんでもないところにお金がかるようですが、この5,000億超は異常です。
水没する地域の上にこんな橋を架けたり、
JR吾妻線の一部を付替えるために、新しい線路や巨大な鉄橋を造ったり、
JR吾妻線の付替線は総距離7.8Km。 ここ河原湯温泉駅も新設です。
で、大変な事業費がかかるのでしょうが、ダム本体の工事費の10倍以上が費やされています。
単純な比較はできませんが、2012年に奈良にできた大滝ダムは大体同規模で3,640億円。 ずっと昔ですがかの黒部ダムは2倍規模で513億円です。
清水建設が受注したダム本体工事
これまた不可解な入札、落札が行われたようで、こういった土木工事の大御所の鹿島建設や大林組も当然入札に参加したようですが、入札期間中に東京港トンネル工事中に両社の担当区画で死亡事故があったことから、両社が指名停止となり、結果として(土木にはあまり名を馳せていない)清水建設が鉄建建設とJVを組んで落札。その額なんと342億円。高いのか安いのか分かりませんが、国土交通省とスーパーゼネコン業界の事情があったと思わざるを得ません。
ともかく見学
国道145号線沿いに駐車場と小高い丘の展望台が作られています。ぶらタモリにも出たやんば見放台です。見晴台でないところが意味深です。
展望台の頂上からダム建設現場が一望できます。無料の双眼鏡もあります。
概要。堤高116M。日本最大級です。(大滝ダムは100M。黒部ダムは186M。)
ダムの片側の側面ですが、台形の一番上の部分までダムの壁が立ち上がるようです。
ダム現場にはコンクリートを作ったり、送り込んだりする施設がドーンと立ち並んでいます。
水没予定地を跨ぐ八ッ場大橋とその向こうに見える不動大橋。
八ッ場大橋は交通量も少ないですが、向こう岸との行き来はあるようです。
観光客は広い歩道を歩きます。
道の駅八ッ場ふるさと館に立ち寄り
八ッ場大橋のたもとに道の駅八ッ場ふるさと館があり、ここに駐車して食事、見学が便利です。軽食コーナーのほか旬菜レストランほたると八ッ場食堂がありましたが、空いているほうの八ッ場食堂に席をとりました。
名物ダムカレー(850円)をいただきました。ダムを模しているのはプラスチックですが、これを取り払ったり、決壊させずに食べるのがルールのようです。味は家庭的なカレーです。日本ダムカレー協会にも載っています。
もう一品八ッ場おつみ団子(500円)をいただきました。すいとん入りのけんちん汁でしょうか。やさしい味です。
この辺り一帯を水没させ1億トンと言われる貯水量を誇る八ッ場ダム。是非論はともかく2020年の無事完成を祈ります。